PEセミナーで見えた「富裕層の守り」とオルカンの未来像
「もしかして、この会場で自分が一番資産規模の小さい参加者なのではないか」 そう思わざるを得ない、凄まじい光景であった。 今回、筆者が本セミナーに参加した目的は、昨今の株式市場に漂う強いブルムードを背景に、鼻息の荒い強気投資家がプライベート市場へ流入しているのではないか、その実態を観察することにあった。 しかし、実際に会場で目にした参加者層は、事前に想定していた姿とはまったく異なるものであった。 本稿では、その現地レポートを記載する。 プライベート市場への参入を検討している方にとって、一つの参考になれば幸いである。
ブル投資家はいなかった
3月9日の大暴落が歴史的な相場転換点となり、ベア相場への移行として記録されるかはまだわからない。だが、少なくともイラン開戦以前の市場は長期ブル相場であった。
その延長線上で考えれば、プライベート市場にも若い世代のブル投資家が参加していると予想するのは自然である。筆者自身も、参加者層は自分よりやや若い、あるいは同世代を想定していた。
ところが、実際に会場に集まっていたのは、初老から老齢にかけての純富裕層であった。
おそらくマス層(金融資産0〜3,000万円)に属していたのは筆者だけである。
彼らの投資思想は明確に「守り」である。
ただし、単なる資産防衛ではなく、守りながらも安定的に資産を増やしたいという欲求を持っており、その受け皿としてプライベートエクイティ市場が機能しているのだと推測できる。
インデックス投資家の未来の姿でもある
現在のインデックス投資家が一定の資産形成を終えた先に辿り着く姿、それが今回のプライベート市場参加者である可能性は高い。
実際、配布資料に示されたポートフォリオ構成を見ると、その性質は非常に象徴的であった。
北米、実質的には米国が約6割を占めており、構成比としてはオルカンと極めて近い。さらに、情報技術とソフトウェアを分けて記載しているものの、広義にはITセクターに3割程度が集中している構図であり、景気敏感セクターへの偏重もオルカンに酷似している。
つまり現在のプライベート市場は、言ってしまえば**「オルカンの非公開市場版」**である。
だからこそ、退職金運用を考える高齢層や、引退した中小企業経営者、その配偶者層が関心を示すのも極めて自然である。
彼らとオルカン投資家の共通点は明確である。
共通しているのは、ボラティリティを嫌い、長期右肩上がりをある種信仰している点である。
少なくとも現時点のプライベート市場は、インデックス投資の派生形として理解するのが最も実態に近い。
